バイタルレコードとは?安全に文書を保管するための方法を知る
日本は、台風や地震、洪水など数多くの自然災害が発生しています。例えば、台風は毎年7月~10月にかけてもっとも多くなり、強風により建物が大きな影響を受けたり、河川の氾濫が起きたりするケースは珍しくありません。また、日本は地震の発生が非常に多い国です。過去に発生した東日本大震災では、津波によって多くの命が失われました。そのほかにも新潟中越沖地震や熊本地震など災害を発生させた地震は数多く挙げられます。
このように、災害は過去に多く発生しており、今後も南海トラフ巨大地震など災害が発生するリスクがあります。しかし、企業は災害が発生したあとも事業が継続できるように、対策を講じなければなりません。災害の発生に備えて取り組まなければならないことはたくさんありますが、そのひとつにバイタルレコードマネジメントがあります。
今回は、バイタルレコードの概要や企業の存続にかかわる文書をどのように守るのかについて解説しますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
バイタルレコードとは?
バイタルレコードとは、企業が保有する文書を含む重要な情報を意味します。また、事業を継続させるために必要不可欠な文書であり、再生や復元が困難な書類のことです。
元々、バイタルレコードという言葉は、経済産業省の『企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会報告書』の参考資料として挙げられた事業継続ガイドラインにはじめて登場しました。事業継続ガイドラインでは、重要業務を継続させるためには、自社における文書を含む情報、バイタルレコードを被災時でも活用できることが不可欠であると記載されています。また、バイタルレコードのバックアップの実施などが事前対策の実施計画に含められており、バイタルレコードの重要性を知ることができる資料です。
(出典元:事業継続ガイドラインーあらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―)
バイタルレコードを失うことで企業が被る2つのリスク
経済産業省が推奨するように、被災時でもバイタルレコードを活用できる状態にしておくことは企業にとって必要不可欠です。では、もしバイタルレコードを失ってしまうと企業はどれほどのリスクを背負うことになるのでしょうか?ここでは、具体的なリスクについて詳しく解説します。
企業の収益に大きな影響を与える
1つ目のリスクは、収益が大きく減ってしまうことです。
地震やテロなどが発生し、バイタルレコードを損失してしまうと企業が収益を生むために必要な文書を提示することが難しくなります。例えば、取引先に発行しなければならない大量の請求書を大部分失ってしまった場合、はじめから作り直さなければならないため、結果的に請求書の発行が遅れることになり、本来収益が得られるタイミングが先送りになってしまう可能性もあるでしょう。
バイタルレコードの損失は、企業の収益にも大きな影響を与えるため、結果的に経営が不安定になってしまいます。
権利や正当性の主張が難しくなる
2つ目のリスクは、権利や正当性の主張が難しくなることです。
企業のバイタルレコードに該当する文書として契約書や法令文書などが挙げられます。もし、被災によってこれらの文書を損失してしまうと、万が一訴訟対応に迫られたときに権利や正当性を主張することが難しいです。
また、バイタルレコードを損失することで、利害関係者への説明ができなくなります。説明責任が果たせなくなるので、企業は信頼を失うことになるでしょう。
バイタルレコードマネジメントのポイントを押さえよう
被災した企業がその影響を最小限に抑え、事業継続を行うためには、バイタルレコードマネジメントを実施する必要があります。バイタルレコードマネジメントとは、重要文書を保護する取り組みのことです。これを実行することにより、被災した場合でもバイタルレコードを守り、リスクを最小限に抑えることができます。
しかし、適切にバイタルレコードマネジメントを実施するためには、いくつかのポイントを把握しておくことが重要です。ここでは、具体的に把握すべきポイントを解説します。
バイタルレコードの定義を決める
はじめに行うべきことは、バイタルレコードの定義を決めることです。
一般的なバイタルレコードとして下記のようなものが挙げられます。
- 重要記録情報
- 不可欠情報記録
- 有用記録情報
- 一般記録情報
まずは、どのような文書をバイタルレコードとして定義するのかを明確に決めることが重要です。
バイタルレコードを選別する
どのような文書をバイタルレコードとするのか定義付けられたら、次は自社で保管する文書の中からバイタルレコードを選別します。バイタルレコードに該当する文書をリスト化し、それをもとに選別すると効率的です。
バイタルレコードを保管する
最後に、バイタルレコードを保管します。もちろん、被災したあともスムーズに活用できるように保管しなければならないため、安全な場所で管理することが求められます。
バイタルレコードを安全に保管するためには?
バイタルレコードを安全に管理するための方法は大まかにわけて3つです。それぞれの方法について詳しく解説します。
紙媒体はキャビネットを導入し、高さなどを考慮する
バイタルレコードの中には、紙媒体で保管しなければならないものもあります。例えば、議事録や決算書などが挙げられるでしょう。
紙媒体は火災や水害などが発生すると損失リスクが高くなるため、それから守るためにキャビネットの導入を検討します。また、水害が発生すると書類が水浸しになる危険性があるため、高い位置で保管するなどの工夫が必要です。
文書を電子化する
バイタルレコードを安全に管理するためには、可能な限り文書を電子化します。電子データとして管理することで、紙媒体よりも損失リスクを大幅に下げることが可能です。
バイタルレコードを電子化するためには、一枚一枚スキャニングを行います。また、検索性などを考慮してOCR処理に対応できるように配慮することも重要です。
クラウドストレージなどに保存する
電子化したバイタルレコードは、オンプレミスのサーバーに保管するのではなく、クラウドサーバーがおすすめです。東日本大震災では、津波によってオンプレミスサーバーが水浸しになり、多くの企業が被害を受けました。そのため、現在ではクラウドストレージの保管が注目されています。
大量の文書を電子化するならスキャン代行業者がおすすめ!
バイタルレコードはスキャニングを行い電子化することで、損失リスクを大幅に下げることが可能です。しかし、電子化すべき書類が多い場合、自社のみで対応することができません。また、書類をデータ化し、その情報を活用できるようにしたい企業の中にはOCR処理に対応したスキャンを行いたいと思われている方もいるでしょう。
バイタルレコードの電子化を実施する際は、スキャン代行業者の利用がおすすめです。大量の文書に対応してくれるだけでなく、OCR処理など書類をDX推進に活用できるようなスキャンを実施してくれます。大量のバイタルレコードをスキャンしたいという方は、ぜひスキャン代行業者の利用をご検討ください。
まとめ
今回は、バイタルレコードの概要や安全に保管するための方法について詳しく解説しました。バイタルレコードの損失は、事業継続が困難になる可能性があるため、日頃から対策することが求められます。
もし、BCP対策として大量のバイタルレコードの電子化を検討しているなら、株式会社うるるの『うるるBPOスキャン代行サービス』を利用してみませんか?大量の文書の電子化だけでなく、DX推進に必要なOCR処理にも対応しています。興味がある方は、下記のリンクからお気軽にご相談ください。