文書の改ざん、すり替えからの防止方法とは?具体的な防止方法6選
企業は、契約書など重要な書類を数多く扱いますが、適切に管理されていない場合、文書の改ざんやすり替えなどが行われる心配があります。万が一、改ざんやすり替えが発生すると企業の信頼が失墜するだけでなく、その行為を行った従業員が逮捕されてしまう可能性も高くなります。そのため、あらかじめ改ざんやすり替えが発生しないように、企業は防止策を講じることが重要です。
今回は、文書改ざん・すり替えの概要や具体的な防止方法について解説しますので、興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
文書の改ざん・すり替えとは?
文書の改ざんとは、文書や記録の内容が正当な形式ではない状態に変更されることです。過失や故意、悪意などを問わず、その変更が不適切である場合、その行為は改ざんにあたります。例えば、悪意がない従業員が知識不足や誤解、パソコン操作の誤りによって不適切な変更を加えてしまった場合でも改ざんに該当する行為となってしまいます。
一方、文書のすり替えとは、契約書などの重要な文書の内容を変更したり、ほかの文書に差し替えたりする行為のことです。改ざんと同様に違法な行為であり、それを行った人は刑事・民事で責任を問われることになります。
文書改ざんやすり替えにあたる行為
次に、文書の改ざんやすり替えにあたる行為がどのようなものなのかについて解説します。該当する行為は下記の3点です。
署名や捺印の偽造
1つ目は、署名や捺印の偽造です。
本来、その印鑑の持ち主ではない人や文書に署名すべき方ではない従業員が筆跡を真似て署名したり、捺印したりした場合、有印私文書偽造罪に該当します。そのほかにも他人の名前で金銭消費貸借契約を結ぶという行為も同様です。
これらの行為は刑法159条に抵触する可能性があり、3ヶ月以上5年以下の懲役に罰せられる可能性があります。また、刑事ではなく民事においても損害賠償責任が背負うことになるでしょう。
契約書の原本・コピーの書き換え
2つ目は、契約書の原本及びコピーの書き換えです。
締結された契約書を後で書き換える行為は有印私文書偽造罪に該当します。例えば、企業が従業員と雇用契約書を締結したあとに、会社の都合の良いように書き換えた場合などです。
有印私文書偽造罪は、契約書の原本だけでなく、コピーを改変したしてもその罪に抵触します。万が一、有印私文書偽造罪になると懲役3か月以上5年以下の懲役に罰せられます。
電子契約書の改ざん
3つ目は、電子契約書の改ざんです。
電子契約書の改ざんは刑法第161条の2、電磁的記録不正作出及び併用に該当します。具体的には、事務処理を誤らせる目的で電磁的記録を不正に作成した場合などです。最大で懲役5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
現在は、2021年の電子帳簿保存法改正によって契約書などをデータとして保管する企業が増えています。しかし、対策を行っていないと電子データは編集ソフト等を使用すれば、簡単に内容を変更することができてしまうため、電子契約書の改ざんリスクはゼロではありません。そのため、今後電子契約書の改ざんは多くの企業で対策が必要になるでしょう。
文書の改ざん及びすり替えのリスクとは
文書の改ざんやすり替えが起こると企業はどのようなリスクを背負うことになるのでしょうか?具体的に挙げられるリスクについて詳しく解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
法的証拠性の消滅
文書の改ざんやすり替えが発生すると法的証拠性が消滅します。トラブルが発生したときに企業は文書の法的有効性について主張しなければならないときがあります。しかし、改ざんやすり替えが行われた文書は法的証拠性が消滅するため、裁判の証拠として認められません。
刑法に触れる可能性あり
文書の改ざんやすり替えは有印私文書偽造罪などに抵触します。懲役3ヶ月以上5か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。文書の改ざんやすり替えを防止していないことが原因で刑事事件へ発展するリスクもあるので、企業経営に大きな影響を与えるでしょう。
社会的信頼性の失墜
企業の社会的信頼性は失墜することになります。法的証拠性の消滅だけでなく、実際に文書の改ざんやすり替えが発生すると社内で刑事事件が起こることになります。インターネットやニュースなどで取り上げられる可能性があり、経営への影響は非常に大きいでしょう。
文書の改ざん及びすり替えからの防止方法6選
文書の改ざん及びすり替えを防止する方法は6つです。実際に文書の改ざんやすり替えが発生すると社会的信頼性の失墜や法的証拠性の消滅など、企業はたくさんのリスクを背負うことになるため、以下を参考にして防止策を講じるようにしましょう。
一度しか書き込めない媒体を利用する
FUJITSU提供のWORMなど、一度しか書き込むことができない媒体を利用することで、書き換えを防止することができます。
一度しか媒体に書き込むことができない場合、データを消去したり、変更したりすることができないので、操作ミスや故意による改ざん及び削除を防止することができます。このような媒体を使用することで変更することができないことを証明することができるので、法的証拠性が維持できるなど、企業は多くのメリットを獲得することができるでしょう。
その機能を有したアプリケーションを使用する
書き込みや編集等を制限することができるアプリケーションを使用することで文書改ざんやすり替えを防止することができます。例えば、CubePDF Utilityなどのアプリケーションは、PDFファイルごとに閲覧権限や編集の許可・禁止などを個別に設定すること可能です。これにより、一度しか書き込めない媒体と同様に、ファイルが変更できないように管理することができるので、文書改ざんやすり替えの防止対策ができます。
社内にて申請・承認のフローを明確にする
社内で申請や承認フローを明確にして文書の改ざんやすり替えを運用でカバーすることもできます。例えば、文書を変更する際は上司に承認してもらうというように社内で申請・承認フローを確立すれば、簡単に文書が改ざんされてしまう心配が少なくなります。
割印や契印を押す
割印や契印を押すことも文書改ざん・すり替えの防止対策のひとつです。
割印は書類をずらした状態重ねてそこにひとつに印鑑がまたがるように押される状態、契印は契約書の裏面のつなぎ目や綴じ目などに印鑑を押すことを意味します。割印や契印を押すことで、文書のすり替えのリスクを防ぐことができるので、特に契約書などで見られることが多いです。
改ざん防止機能付きの用紙を使用する
改ざん防止機能付きの用紙を使うことで、文書改ざんやすり替えの防止が可能です。一般的に偽造防止用紙といわれます。
偽造防止用紙はコピーされた際にそのコピー機の光によって隠された文字が浮かび上がります。例えば、コピーした用紙には裏面に『コピー』と印刷されるため、多くの人が原本でないことを認識することが可能です。このような偽造防止用紙を使用することで、すり替えのリスクが大幅に減るため、文書改ざん・すり替え対策として効果的です。
印鑑を厳重保存する
印鑑を厳重に保存することで、その持ち主以外が勝手に使用して捺印してしまうリスクを減らすことができます。重要な印鑑は金庫や鍵付きのロッカーに収納しておくことで厳重保存が可能です。
まとめ
今回は、文書の改ざんやすり替えから防止する具体的な方法について解説しました。あらかじめ防止対策を講じることで社会的信頼性の低下など企業が背負うリスクを大幅に減らすことができるので、不十分と思われる企業は積極的に対策を行うようにしましょう。
文書の改ざんやすり替え対策を万全に行いたいという企業は、文書情報管理士の資格保有者が多数いる会社や文書情報マネージャーがいる業者に相談するのがおすすめです。うるるBPOは、文書情報管理士などの資格があるスタッフがたくさんいる業者なので、文書の改ざんやすり替えのリスクを減らしたいという方は、下記のリンクから相談してみてはいかがでしょうか?